鏡の中の虚像と、部下が示した「努力の証」
53年という歳月は、残酷だ。鏡に映る自分は、いつの間にか締まりを欠き、理想とは程遠い「老い」を漂わせていた。何度も筋トレに挑んでは三日坊主で終わり、そのたびに「自分は意志の弱い人間だ」という自己嫌悪を、冷めたコーヒーと一緒に飲み込んできた。
そんな私の目を覚まさせたのは、画面の中のモデルではない。日々、隣でデスクを並べ、黙々と汗を流してトレーニングを積んでいる部下の姿だった。
彼がふとした瞬間に見せた、鍛え上げられた肉体の質感。それは写真や動画では決して伝わらない、「日々、自分を律してきた者だけが宿す熱量」だった。
「うらやましい」――その混じりけのない衝動が、私の胸に眠っていた最後の火種を叩き起こした。
28歳年下の女性部下へ捧ぐ、静かなる「敬意」
時を同じくして、一人の女性部下が私を頼り、慕ってくれるようになった。彼女は私より28歳も年下だ。
何事にも一生懸命で、真っ直ぐに仕事に向き合う彼女の姿を見ているうちに、私の中に一つの感情が芽生えた。それは恋愛などという安っぽい言葉では括れない、人間としての、あるいは娘のような存在に対する、深い「敬意」だった。
「彼女のような真っ直ぐな若者の前で、私は無様に老けさらばいていいのか?」 彼女が注いでくれる信頼に、私は「背中」で応えたいと思った。言葉で指導する以上に、自分を律し、向上し続ける一人の男としての姿を見せたい。彼女への敬意は、私にとって「老い」という重力に抗うための、最強の燃料(エナジー)になった。
逃げ続けた過去の自分、その「意志の弱さ」との決別
「明日からやろう」「今日は疲れたからいい」……。そんな言い訳で、私は50年以上の人生を塗り固めてきた。だが、あの日、ホームセンターで買った5kgの鉄アレイを握った瞬間、私は自分に誓った。
これは単なる筋トレではない。過去の、意志が弱く、自分を裏切り続けてきた「あの男」との、完全なる決別なのだと。
月1万円のジム代を払って「やったつもり」になるのはもうやめだ。誰も見ていない自宅のリビングで、たった5kgの鉄を上げる。その孤独で地味な一歩こそが、私の新しい航海(自律)の合図だった。
迷うことは、弱さではない。ただ、進むべき方角を知らなかっただけだ。
さあ、最初の鉄を上げろ。
そうだろう?
さて、準備はいいか。
もし迷いがあるなら、
[序文に戻って(1レップ・ダウン)] 己を鍛え直してほしい。

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