17.5kgの鉄塊との2ヶ月の実録。規律を「継続」させるための50代後半の戦略的撤退。

17.5kgのダンベルプレスに移行し、パンプアップを始めてから2ヶ月が経過した。
手元にある1枚の記録表。そこには、一筋縄ではいかなかった私の葛藤と、数値化された客観的事実が克明に刻まれている。

今回は、この2ヶ月の鉄塊との対話から得た、私が肉体と精神を支配するための「規律のロジック」を共有したい。

不測の事態、そして15日間の戦線離脱

記録を凝視すれば、ある異変に気づくはずだ。
4月11日のセッションを最後に、4月26日までの15日間、完全に記録が途絶えている。

サボったわけではない。エスカレーターでバランスを崩し、ひっくり返りそうになった酔っ払いを咄嗟に支えた。その刹那、左腕の二の腕の筋を痛めた。男として、眼前の弱者を黙って見過ごす選択肢はなかった。だが、代償は小さくなかった。

もしあの事故さえなければ、私は4月の時点で「30回×8セット」という高みへストレートに到達していただろう。だが、現実は残酷だ。15日ぶりに鉄塊を握ったとき、私の肉体は確実に牙を失っていた。

「できない自分」への嫌悪感をコントロールする

15日ぶりの復帰戦。かつてのように30回の挙上を試みた。しかし、上がらない。
「ああ、やっぱり落ちている」
その事実が冷徹に脳を焼いた。

だが、私はもしかしたらすぐに戻るかもしれないと思い、そこからさらに挽回するために30回8セットを続けた。しかし、結果は自分の思い通りにはならなかった。

上の表のように、5月1日から5月11日かけての4セット目以降オレンジ色の塗りつぶし部分の実績は、4月9日の黄色の塗りつぶし部分の実績と比べて、明らかに落ちていることが分かる。

私は、5月11日に8セット終えた時点で、ちょっとやそっとで4月上旬のような状態には戻らないとハッキリと自覚した。正直、あの酔っ払いさえいなければと思ってしまった。

それから少し、モチベーションが下がってしまった。5月11日から5月17日にかけての空白は、私のスケジュール関係もあったが、鉄を持つことに積極的ではなかった。

だが、前の章でも話した通り、過去の経験からその場所から撤退し、再構築した方が早道だということを私は何度も経験している。そこで5月17日からは1セット30レップを1セット27レップに落として8セットを行うことにした。

ここで多くの者が犯す過ちがある。過去の栄光(30回)にしがみつき、できない自分に絶望し、自己嫌悪に陥って戦線を離脱することだ。感情に流されることは、規律の崩壊を意味する。男として、私は己の精神をコントロールしなければならなかった。

これが功を奏した。27回に落としたことで、6セット目までは確実にこなせる。
「よーし、ならば残りの7セット目、8セット目も27回で意地でも持って行くぞ」
目標をわずかに下方に修正しただけで、心は一転して前向きな戦闘モードに切り替わった。規律とは、時に己のプライドをへし折り、大局(継続)のために最適な一手を打つ冷徹さのことである。

数値が証明した「中1日」という黄金律

もうひとつ、この記録表が教えてくれた決定的な事実がある。

5月17日から6月3日にかけての記録を見てほしい。
この期間、私はほぼ「2日ペース(中1日)」で鉄塊に挑み続けた。それ以前の、実施日の間隔がまばらだった時期に比べ、この中2日ペースを維持し始めてからの回数の伸び、およびセット後半の粘りは明らかに向上している。

筋肉は、ただがむしゃらに毎日痛めつければいいというものではない。かと言って、間隔が空きすぎれば牙は鈍る。
適度な休息を与え、超回復を促し、適切なタイミングで再び限界の負荷をかける。このサイクルを守って初めて、筋肉は、そして男の肉体は成長する。

精神論だけで肉体は変わらない。こうして数値をグラフ化し、客観的に己を分析して初めて、真の「鋼の規律」は完成する。

間隔が空きすぎてもダメだ。毎日やってもダメだ。
正しい負荷と、正しい規律ある休息。これこそが、鉄塊が私に授けてくれた男の成長法則である。

重量や回数よりも大切なもの

重量でも回数でもない。私が筋トレにおいて一番大切だと思うのは、「続けられること」だ。

どんなに重い鉄塊を持ち上げようとも、どんなに圧倒的な回数を誇ろうとも、挫折して足を止めてしまえば、そこですべては水泡に帰す。15日間の空白から這い上がり、27回という泥臭い継続を選び取ったからこそ、私は今、新フェーズの景色を見ている

己の現在地を知り、精神をコントロールし、淡々と規律を紡ぎ続ける「継続」、それこそが、男を真の強者へと変える唯一の道なのだ。

この2カ月で分かった5つのこと

  • 怪我や中断で筋力は落ちる
  • 過去の記録に執着すると継続が苦しくなる
  • 30回に固執せず27回へ下げた判断は正解だった
  • 私の場合、中1日ペースが最も成果につながった
  • 重量や回数よりも大切なのは「継続できる仕組み」を作ること

鉄塊が教えてくれたこと

  • 完璧を目指すな
  • 今の自分を認めろ
  • 調子が悪い日は一歩引け
  • 休むことも鍛錬の一部だ
  • 続ける者だけが強くなる

17.5kgの鉄塊との戦いで私が得たものは、筋力だけではない。

「出来る日も、出来ない日も続ける」

その当たり前で最も難しい規律こそ、私がこの2カ月で手に入れた本当の成果だった。

👉[編集後記:コーヒーの湯気の向こう側で ]

👉[ 最終話:鋼の自律(セルフ・ディシプリン) 〜6年継続した男だけが見える景色〜 ]

コメント

タイトルとURLをコピーしました