第2話:10kgという「二桁の洗礼」 〜忍び寄る不協和音〜

1年で到達した「二桁」という万能感

5kgから始まった航海は、驚くほど順調だった。

1年という月日を経て、私の手には10kgの鉄塊が握られていた。「50代からでも、これほどのスピードで進化できるのか」。かつての自分への嫌悪感は消え、代わりに根拠のない万能感が芽生え始めていた。

だが、その時すでに、海面下では嵐の予兆が始まっていたのだ。

手首に走る「小さな軋み」と慢心

10kgに到達してから、手首に軽い炎症のような痛みを感じるようになった。

湿布を貼れば収まる程度の、小さな違和感。「この程度の痛みは、努力の証だ」――私はその警告を、あろうことか「勲章」だと履き違えてしまった。

二桁重量の鉄は、5kgのそれとは別種のエネルギーを持っている。関節や腱にかかる負荷が、指数関数的に跳ね上がる。その事実から、私は目を逸らしていた。

12.5kgへの無謀なジャンプアップ

手首の悲鳴を無視したまま、私はさらなる高みを目指した。

10kgから12.5kgへ。わずか2.5kgの差。だが、その「わずかな差」が、50代の肉体にとっては崖のような断絶であることを、私はまだ知らなかった。

「次は12.5kgだ」――その決断が、後に続く「空白の2年間」への入り口になるとも知らずに。

さて、準備はいいか。

[次の一撃(1レップ・アップ)へ進む]

もし迷いがあるなら、

[前に戻って(1レップ・ダウン)] 己を鍛え直してほしい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました